使命と任務
 
 "地方の時代"が叫ばれている今、市町村の行政面は企業の如く、いかにすれば経営が維持されるか、という問題に直面しています。
 情報産業、流通経済が、日増しに急速にして急転しながら進展しつつある現在、市町村の経営管理者たる市・町・村長と、その議会を運営している議員の施策のウエートは高まるばかりです。
 市町村を繁栄に導くも、衰退させることも、議員の行政手腕にかかっているものです。いずれの市町村も、それぞれの特色を生かして、大都市と密接な関係を結べる経営管理を為すべきでありましょう。
 他県における優秀な市町村のあり方を調査し、あるいは中央政府における施策のあり方が、自分の市町村にとっていかなる影響があるか? などと先手を打って調査し、常に情報を管理して行くことが市町村発展の基礎となるものです。
 即ち、市町村繁栄のための情報をキャッチして、かつ管理指導し、市町村が将来進むべき発展進路を正確に調査して、その長と議会の議事進行を補佐することが、行政調査士の任務です。
 いわば「行政コンサルタント」である行政調査士は、その資格認定の基準が、行政経験者(議員及び元議員)であることから、その体験を通じて、習得した知識を広く「国造り」「国民のため」に応用すべきであります。
 『議員及び元議員が、常に変わりなく、社会公共の福祉のために有意義的に働く』  − それが行政調査士の使命でもあるのです。
 企業管理士は、企業経営者の顧問となって、企業全般にわたって健全な運営ができるように適正な指示・指導を行うとともに、新規事業の立案、設計、計画、指導、教育、その他苦境に立つ企業の建て直し等、その任務は多岐にわたります。
 あるときは作戦参謀であり、また財務・労務・行政等の監査・指導者にもならなくてはなりません。
 
 
行政調査士の任務
 
1. 地方自治体の行政上における情報を管理し、市・町・村の発展進路を正確に調査、繁栄に導く。
2. 自治体行政を熟知し、自治体行政を指導する資料を提供するとともに、その調査の情報を、地方産業の発展に寄与、地方産業の健全育成を行う。
3. 地方自治体における行政法の解説を民間企業者に浸透させ、都市開発、公害、過密・過疎対策等を指導する。
4. 他の地方自治体との情報交換を密にし、大企業の合併系列化、学園都市開発の指針とする。
5. その他、地方自治体及び民間企業の健全発展・向上のためのあらゆる情報・資料を収集、関係諸機関へ提供する。
6. 行政調査士最大の任務は、広く「国造りの担い手」であるということである。経験・研修によって身につけた知識・手腕を、国民のために発揮する−あらゆる業務に対応・対処することこそ、行政調査士の任務である。
 
 
企業管理士の任務
 
1. 企業繁栄のためのあらゆるコンサルタント業務を行う。
2. 新規企業の立案、設計、指導、教育をなし、経営不振の企業であれば、その原因調査構造・組織改善と対外的交渉の委任に応ずる。
3. 企業の常任顧問、相談役に応じ、企業全般にわたって、健全な運営ができるよう適切な指示を与える。
 
 
地方自治の行政事務に関する憲法の規定
 
社会保障行政および公衆衛生行政に関する規定
  憲法第25条第1項、「すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」また、第2項に「国はすべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と規定し、第1項は、いわゆる生存権の規定であるが、第2項は国、地方公共団体が社会保障および公衆衛生行政について実施すべき責務を明記している。
教育行政に関する規定
  憲法第26条第1項は「すべて国民は法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける金利を有する」とし、第2項は、「すべて国民は法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負う。義務教育はこれを無償とする」と規定している。教育とは、学校教育と社会教育を指す。
労働行政および児童福祉行政に関する規定
  憲法第27条第1項は「すべて国民は、勤務の権利を有し、義務を負う」とし、同条第2項は「賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める」と規定し、さらに憲法第28条は「勤労者の団結する権利及び団体交渉、その他の団体行動をする権利は、これを保証する」と規定。
 これらは勤労権または労働権にかかる規程であるが、同時に国及び地方公共団体における労働権保護、または労働行政(勤務に対する行政)に責務にかかる規定といってもよい、また、憲法第27条第3項は「児童はこれを酷使してはならない」と規定している。これは児童福祉にかかる原則であると共に、年少労働者に対する保護の規定であるといいうるのであろう。
土木行政、特に公共用地と私有財産権に関する調整の原理にかかる規定
  憲法第29条はいわゆる財産権の保障にかかる規定であるが、その第1項においては、「財産権は、これを侵してはならない」とし、第2項において「財産権の内容は、公共の福祉に適合するように法律を定める」と規定し、さらに第3項で「私有財産は、正当な補償の下に、公共のために用いることができる」と規定している。
 河川、道路、都市計画、住宅行政等において、その根幹をなすものは、公共用地の取得問題であるが、ここにおいて重要なる問題は、公共と私権の調整の問題である。
財政にかかる規定
  憲法第30条「国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負う」とし、また、憲法第7章は「財政」と云う一章を設けて財政および租税の原理、原則を掲げている。納税の義務にかかる規定については、国税のみならず、地方税も含めている規定であるが、財政一般にかかる規定は、直接的には国の財政をさし、地方財政は、その対象とされない。
地方自治行政において人権と関連あるもの
  人権の保障は行政の執行においては、きわめて重要なるものである。特に、権力的、執行的なる取締行政においては、「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由、及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法、その他の国政の上で最大の尊重を必要とする」という憲法第13条の規定がある。
地方自治の組織、運営に関する法体系
  地方公共団体の組織、公務員制度、選挙制度、直接請求制度、財務制度等がある。地方自治法には議会、執行機関、直接請求、財務等に関する他、地方公務員法、教育公務員法、地方公営企業法、公職選挙法、警察法、消防組織法、地方教育行政の組織および運営に関する法律(教育委員会制度)、農業委員会等に関する法律、漁業法(海区漁業調整委員会、内水面漁場管理委員会の組織等)等がある。
地方自治の作用に関する法体系
  きわめて広範囲であり、民生、衛生、教育、警察、農業、商工業、土木建築、労働、陸運等の各般にわたっている。
 
●地方自治
  自治行政とは、国家によって行政上の法能力を付与されている国家内に組織された団体が、ある程度国家意志から独立して、その団体自身の行為として行うところの行政である。この種の行政を行うことを、その在立目的とする団体は広く公共団体と云われ、自治行政とは公共団体の行うところの行政である。
 公共団体の一種に地方公共団体があるから、地方自治は地方公共団体の行う自治行政と定義することができる。地方自治の観念がしばしば団体自治と住民自治という二つの要素の結合から成ると云われるのも、このことを意味している。
 
●地方自治法
  地方自治体の本旨に基づいて、地方公共団体の組織及び運営に関する事項の大綱を定め、併せて国と地方公共団体との間の基本的関係を確立することによって、地方公共団体における民主的かつ能率的な行政の確保を図るとともに、地方公共団体の健全な発展を保障することを目的として制定された法律である。(昭和22年法律第67号)
 
   日本国憲法は地方自治に関する一章(第8章)を設け、憲法上、地方自治を保障しているが地方自治法は旧憲法時代の地方自治に関する定めを統一し、日本国憲法の理念に基づいて、新たにこれを整備した地方自治に関する基本法である。
 施工は憲法と同時であったが、その後、昭和22年、同23年、25年、27年、29年と重要かつ大幅な改正、更に部分的を合わせると、80回をこえる改正が行われてきた。
 第1次〜第3次改正では、主に地方自治の拡充強化を図り、第4次以降は地方自治行政の再編合理化と簡素能率化に重点が置かれた。
 
   現行自治制度には、なおも多くの欠陥があるとして、更に全面的再検討が行われている。
すなわち、資源の開発その他、広域行政の合理的・能率的な遂行、現代国家に課せられた行政の一定水準の維持、都道府県と市町村の二重行政によるムダの排除、国の財・行政と地方との調整等の改革が必要であるとし、その方策が研究されている。
 
   地方自治法は、普通地方公共団体(都道府県及び市町村)と特別地方公共団体(特別区、地方公共団体の組合、財産区及び地方開発事業団)とを区分し、その組織及び運営に関する大綱を定め、併せて国との関係を明らかにしているが、地方公共団体は千差万別であり、その組織・態様はきわめてまちまちであるため、その実態に即応する定めは困難であり、不可能とさえいわれている。
 
   そこで地方自治法には、地方公共団体の組織及び運営に関する事項の大綱を定め、各地方公共団体で具体的事情に即した細則を定めているものが少ない。議会議員の定員、都道府県の局・部等がそうである。
 現行の地方自治法を云々する場合、その施工細則を定めた地方自治法施工令、同施工規定の他、新産業都市建設促進法、市町村の合併に関する法律等の各特別法をはじめ、各地方公共団体の条例・規則を注意する必要がある。
 
地方公共団体の種類
1) 普通地方公共団体
  = 都道府県及び市町村
2) 特別地方公共団体
  = 特別区、地方公共団体の組合、財産区、地方開発事業団